2017年9月19日火曜日

『羅生門』〜満島ひかりと柄本佑による芥川の世界



チケットを買ったのが4ヶ月以上前、つまり二回にわたる網膜剥離の手術と入院の前だったので、こんな目になるとは思わなかった。でも、仕方ないのでこんな目のまま文化村に行ってきた。



テレビでやっていた『カルテット』がとても気に入ったせいもあって、満島ひかりさんは舞台ではどんななのだろう?と興味を持った。彼女と柄本佑さんが主演で、田口浩正さん、小松和重さんなど多彩な人々の出演に引っ張られてそれがイスラエルの文化と結合するとどんな風になるのだろう?とチケットをゲットしたが、まさかこの目で観なければならなくなるとは・・・






『100万回生きた猫』と言うミュージカルは観てないのだが、その演出を手掛けたイスラエルのアブシャロム・ポラックさんとインバル・ピントさんの作品だということで、彼らが芥川龍之介の世界をどのように料理するのか興味深かった。
「羅生門」「藪の中」「鼻」「蜘蛛の糸」の4作品だ。

よく見えない目には、暗い舞台は厳しいし、ランプ一つでも照明はハレーションを起こしてしまって、光が散らばる。しかしやはり魅せられて見入ってしまった。
何しろメガネを使えないのだから最悪だ!けれど、視力は不自由でも雰囲気でかなり補なわれた。

音楽、ダンス、舞台装置、衣装はなかなかいい。全体を通してみると歌がイマイチかな?
そこにある世界はやはり演出家の実力で個性豊かに芸術的に表現されていた。

いつも思うのだが、演劇は内容が難しい。どうも本を深読みする癖のある私は、意味を探ろうとして疲れる。目の前の世界に浸るだけでも十分だと思うのだが。

もう少し笑いがあってもよかったかな?とふと思うのだ。

そして言うまでもなく、満島ひかりさんはこれからも楽しみな才能豊かな役者さんだと認識した。あのしなやかな細い体ですごい表現力とパワーがある。歌もダンスもうまい。
柄本さんは、まだぎこちなく、舞台はこれからかな?という印象。意外と不器用なのかもしれない。テレビでは見えないものが舞台では見える。職人さんのようにコツコツと実力をつけていくといいかもしれない。独自の世界を切り開かねばならないのだから。

父親がすごすぎるとどうしてもつきまとうものがある、どこの世界も大変だ。



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