"The philosopher and the wolf" by Mark Rowlands
-Lessons from the wild on love, death and happiness
副題: 愛・死・幸福についてのレッスン。
訳者:今泉みね子
Kzさんに薦められて読んだ本。
こんなに本が体内に入り込んできた作品はとても珍しい。
読み終わった後も、著者が暮していたオオカミのブレニンが、私の家の中をあっちこっちうろうろしている。
哲学書のはずなのだが、気がつくと彼のブレニンとの暮らしぶりのところばかり一生懸命に読んでいた。しかもしっかりと記憶に残って、ブレニンの活き活きした様子が心に焼け付きその上映像になってはっきり、しかも温かく、微笑ましく残っている。
Kzさんは哲学的考察の部分が好きだと言っていたが、私は頭が単純なので、ブレニンの描写の部分ばかりが優先される。
この著者はブレニンと言う名のオオカミと10年以上一緒に暮らし、彼を通して多くのことを学んだ。二人の関係はどこにもない関係・・・家族、友だち、同志、分身・・・・そんなものが全部一緒になったようなとても素敵な信頼関係だ。そして、そこから発進されてくるものは私の頭の中で映像になり、心を刺激して、更に脳の中では思考に向かって行く。
ブレニンが魅力的なこと!
この魅力が彼の哲学とつながって行く。 どうしてブレニンがそんなに素敵なのか!!
そして、そのブレニンが彼の中にも住んでいる、人間の中にあるオオカミ的部分が刺激され、共鳴し、融合する。それこそが、人間が忘れてはならないオオカミ的なもの・・・・時間の流れ、瞬間、記憶、喜び・・・
終わりまで読んだ時、又初めに戻りたくなった。
彼が書いていることを私はたくさん読み落としてきたことに気がついたからだった。特に哲学的考察の部分。 それぞれがブレニンの行動の一つ一つにつながり、とても大切なことを述べているのだから。時々引っ張り出して読んでみよう。
そうすればブレニンが私の過ちを修正してくれる。
今は、ブレニンの感触の中でブレニンを感じていればそれで良い! そう思う私です。
訳者の今泉みね子さんの訳は活き活きしていてとても素敵で、どんな人なのか?と興味を持ちましたが、ドイツのフライブルグ在住ということで、興味深い環境都市に住んでおられるので、多分色々テーマがおありなのだと思いました。彼女の姿勢が素敵な翻訳をうみだしたのだと思います。