2013年11月12日火曜日

アリス・マンロー (Alice Munro)  〜心の動き

アリス・マンローは気になる作家だった。そして、やはりノーベル文学賞を受賞した。

青山南先生のアメリカ短編のクラスでご一緒していたMさんが、彼女の作品が大好きだと以前コピーを下さったことがあった。
彼女は私の読解力をとても評価して下さっていて、それを活かしてプロになるように薦めて下さったかただ。そしてご自分は青山クラスを離れ大学院へ行かれた。
私は先生のクラスもなくなり、そのままだ。



Mさんはあまり癖の強いひねりのある作品よりも、特にドラマチックではないけれど、内面豊かで心の中が描かれている、文章がしっかりしたアリス・マンローのような作品の方が好きだとおっしゃって私に薦めてくださった。
そしてその作家が文学賞をもらった。

久しぶりに彼女の作品を2編ほど読み直してみた。
"Post and Beam"と"Silence"

ここのところスペイン語ばかり読んでいたので、そのたどたどしさと比べると英語の作品は辞書がなくてもかなり読めるのだと再認識した。
(再び短編に挑戦してみようかと思っている。)

前者が2000年、後者が2004年の作品だ。
短編ならではの作家と作品。心の動き、その時その時で考えていることが克明に描かれ話が進んで行く。ストーリーよりもむしろ心の動きを追って行きたくなる。
この人の思いはどのように変わって行くのだろう?何を考え、そして現実とのズレは?と。

"Silence"は、ずしんと来た。

そう、自分の置かれている状態だったからだ。私も娘の"Silence"で苦しんでいるから、この人(Juliet)はどうやってこの辛さを乗り越えて行くのだろう?最後はどうなるのだろう?
とても気になった。

タイトルの"silence"という言葉は日本語に置き換えられないほどこの作品にピッタリで、静けさ、無言、言葉を失って、コミュニケーションが成り立たない一方通行の母親の苦しみが見事に伝わってくる。
やはりこの人、うまいんだ。もう少し読み込まないと・・・

無理に決着をつけない最後の終わり方が良かった。

She keeps on hoping for a word from Penelope, but not in any strenuous way.  She hopes, as people who know better hope for undeserved blessings, spontaneous remissions, or things of that sort.


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