2013年11月23日土曜日

弱音を吐こう、介護日誌(42) 〜そんなに歓迎しないで

ここのところオババの症状が進んでいる。

先日のブログでも書いたが、洋服の順序が分からなくなるし、お部屋は衣類で散らかるし、顔の表情が少し間の抜けた意志のない個性のない顔に変わりつつある。

看護婦さんにも、「ちょっと寂しいかもしれませんが、混乱しているので衣類は5セットくらいにして後は全部片付けて、必要な時に、時々入れ替えて下さい。『これからお身内は辛い時期に入るでしょうが、変化に覚悟を』」と警告を受けたところだ。

けれど、相変わらず、毎回「盗まれた〜」と大事な物を工夫して隠しているので、まだ、闘争本能が残っているだけいいか!なんて思っている。



今日は、丁度おやつの時間に到着した。
私の顔は分かるようで、母は嬉しそうに手を振っていた。(良かった!)

ここで、困るのが、母のテーブルへ行って一緒にお茶をするか、それともお部屋に移動するかで迷うことだ。
先日などは、比較的若いしっかりした入居者さんが、
「あなた、私甘いもの大嫌いだから、これ召し上がって」とおまんじゅうを持って来て下さり、ありがたく日本茶と一緒に頂戴した。
訪問者にはお茶類しか出ないので、お紅茶かコーヒーをいつもお願いするのだが・・・
その方は以前も同じテーブルに着いた時に、甘い物が嫌いと言っておられたので、本当にそうなのだと思うが・・・

今日は、いつもニコニコしているだけのお福人形のような可愛らしいおばあちゃまが、しゃべった!(この人声が出るんだ!とびっくりした)

「あなた、若いのだから、私の半分食べて。私若い人とお話するの大好きなのよ。ヴァイオリン教えていたから」と今川焼を差し出した。
「私、今太らないように、甘いもの控えているんです、お気遣いなく召し上がって下さい」と本音で返したのだが、一向に通じない。

そして、結局感謝していただくはめになってしまったのだが、私は本当にいらなかったの・・・私甘党じゃないし・・・。
けれど、お年寄りのご好意を無にする訳にも行かないので、嬉しく頂戴した。まあ1/4の小型今川だから大した分量でもないが、母のも1/4食べたから、半分頂いたことになってしまった。(私の日頃の努力は、こうして無に帰す)

今膝痛で困っているので、体重を減らそうと炭水化物減量作戦の真っ最中なのだ。

けれど、今川焼を頂いたお陰で、おばあちゃまのお話を伺った。
無口のニコニコおばあちゃまは、YWCAでヴァイオリンを何年も教えていたのだそうだ。ヴァイオリニストだった!
今でも毎日弾いているそうだ。

そこでオババ、
「あなた、夜も弾いているの?夜のヴァイオリンはいいわね〜私大好き」
「夜は人の迷惑になるから〜」

何か会話が成り立っていると、いいぞ!と思った私だが、オババの次の台詞は、
「あなた、夜も弾いているの?」・・・
やれやれ・・・甘かったわい。

お別れする時に、お福おばあさん
「是非、ヴァイオリンを聞きにいつでもお立寄り下さいね」と言われ、
この人は今、昔の自分の世界に居るのか、それとも本当に現在も毎日弾いているのか?と心を揺らしながら、でもそんなことはどちらでもいいんだと、嬉しそうにお話をされている様子を心地よく思った私でした。

ところで、これを見ていたご入居者さま、お願いですから、次回おやつの時間に行っても私におやつを差し出さないで下され。
お菓子無くても喜んでお話伺うから!!

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