2014年10月3日金曜日

認知症の特徴 〜『ババ抜き』はなかなかいい!

毎週水・木曜日と必ずホームの母の所へ行っている。
このリズムが崩れると、母の調子が不安定になって乱れるのでここ3年間できるだけ、このペースを守っている。

水曜日に行った時のこと。
受付で、「みなさまとトランプをやっていらっしゃいます。」と言われたので、『ええ??うちのオババにトランプができるのかいな?』と不安に思いながらダイニングへ行くと、何だかテーブルを囲んで楽しそう。
私に向かって手を振った。

「ソラさん、どうぞ一緒にやってください」とスタッフが声をかけてきた。
どうも手が足りないみたいので、私も加わってみると、いやはやババ抜きをやっているらしい。
ババア5人に囲まれてババ抜きをするのか・・・
『でもこれならうちのオババにもできるかも・・・』と思いながら加わってみると、やり方を知らない人はいないみたいだ。92歳のうちの母でさえもちゃんと数字を合わせている。

普段全くしゃべらない人もニコニコしている。
「うちは誰も会いにきてなんかくれないのよ」と、いつも同じことしか言わない人も、いつもより雄弁だ。

仕方ないので、リーダーになって、
「次○○さん、引いてくださ〜い」
「次は△さんが○さんから引くんですよ」と一回一回声をかけるとみんな乗ってきて嬉しそうにあわてて頑張って引くのだ。

「ソラさん、私の名前ご存知だったのね、嬉しい」とニコニコ顔のおばあさんもいる。
この人はこの間、ソフトクリームの機械を見て、「あれはなあに?」と10回くらい聞いた90歳のおばあさんだ。とても感じの良いひとなので、いつもおしゃべりする。
これだけ通っていると、さすがにみなさまの名前を覚えてしまう。

母は私が隣にいるので、安心してボケながらババを引いた。
「これ、何?なんだか変わった絵がきたよ」とみんなに見せるところなんか、まさに認知症なのだが、妙に和やかで、みんな大笑い!!」
「イチカワさん、それは隠しておかないと駄目なのよ」と言われてあわてて隠す母。
それを見て、又大笑い。

おやつの時間が来てみんなが少しずつ集まってきたけれど、ゲラゲラ笑いながらなかなか勝負の決着がつかないので、どうしようと思ったが、みんな夢中。

そしてまわりの人たちはなに楽しそうなことをしているの?と少々うらやましそうにみんなこのテーブルに注目している。

母はさっさと持ち札が合って、ババを次の人に渡して一等賞!
それから私のテーブルのおばあちゃんたちは、みんなにババを渡して、、、ぐるぐるまわる。
「あら、私が一番早く一枚になったのに、一番最後になちゃったわ。でも楽しかったから全ぜ〜〜ん、悔しくない。あなたアリガトウ、又やりたいわねえ〜」と握手までしてしまった。

夢中になっているうちに、認知症のおばあちゃんたちの頭が活性化して反応が良く、みんな正気になってしまったような感じになった。
いつもの表情のないお顔がピンク色になって、笑顔になって・・・
ああ、楽しかった! ババ抜きも悪くない。

素敵な午後のひととき。
「イチカワさん、あなた幸せな人ねえ〜」
母はきょとんとして、意味が分かったのかどうだか?
「まあね」

と言いながら、「ソラちゃん半分食べなさいよ」とホットケーキを差し出しました。

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