2015年5月7日木曜日

認知症の特徴 〜天使と悪魔の日替わりメニュー

母は四年前に、アルツハイマー型の認知症と認定され、「もう直ぐご家族のお顔も判断できなくなりますよ」と医者に言われてはいたものの、今日までどうにかまだ私の顔は認識できている。
もう直ぐはどれくらいなのだろう? 4年はもう直ぐではないような気はするのだが、その日は明日にもやってきそうな気もする。

今日は、特別食の日で、ランチは豪勢な和食だったらしい。
ホームに着くとおやつの時間で4人がけのテーブルでおしゃべりしながらお茶をしていた。



皆さんに挨拶をした後、
「お母さん、今日のお昼はご馳走だったのでしょ?」と言うと、母はきょとん!
ホームが楽しくて仕方ないと言うHさんが、メニューの説明をして下さる。
「私も食べたかしら?」母が大きな声で質問すると、
「市川さん、美味しそうに召し上がっていましたよ。」と別の方が・・
「お母さん、折角のご馳走、覚えてないともったいないよ」といいながらお腹をさする私。みんなニコニコしている。

「あなたどこに住んでいるの?」とHさんに母が聞くと、
「あら、いやねえ、ここよ、ここ。」Hさんが笑って答える。
「お母さん、毎日顔を合わせているでしょ?お母さんもここに住んでいるのよ」すると、困ったような照れ隠しの笑み。

母は、人の顔が認識できない。
スタッフは声でかろうじて判断しているようだ。けれど、顔ではわからない。
記憶にないせいで、どんなに失礼なことを言っても、「あなたのお母様は明るいからいいわ」とか「本当に面白い方ですね」と返事が返って来る。
みなさま、悪意で取らないので、本当にありがたい。
もちろん、本人にも全く悪意はなく、瞬間の正直さがあるのみ。

しかし、昨日はまさに悪魔の母だった。
時々自分が分からなくなってしまい、怒鳴ったり、過剰防衛だったりする。本来とても気の強い人なので、プライドが傷つくと、噛み付く勢いで怒るのだ。
むき出しで怒るから、まるで野生児なみだ。
何もかも反対で返して来る。認知症の割には瞬間の頭は実によく回る。

こうして、悪魔と天使の母を日替わりで交互に見ながら、それでも私を待っていて顔を見ると手を振ってくれる母がいつまで存在するのか、私は見守らなければならない。

一つ言えることは、認知症でなくても人間は皆同じかもしれないが、相手の反応は鏡!自分次第だということ。相手のご機嫌がいくら悪くても、こちらがhappyだと向こうもhappyになり、こちらがどうにも冗談も言えないような気分の時は、相手も沈む。
苛立っている時に、受け止める度量がないときは、まさに悪魔の勝利で、どんなにひどい母の罵声も、私がおおらかなときは、受け止めてしまえるということなのだ。

昨日は私が心の余裕がなかった。そして今日は、昨日と同じだったらどうしよう?と心で戦いながら、深呼吸で『何があっても大丈夫、ドンと来い!』とコントロールしながら行ったら、周りの方々に助けられ、私は良い空気に包まれて、穏やかになれた。
そして母も穏やかだった。

木曜日は今週のお勤め終わり!の日。
この日が穏やかだと、来週のお勤めが苦痛ではなくなる。

まさに、自分との戦いだ!
「ノウボウアキャシャギャラバヤオンアリキャマリボリソワカ」

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