2015年6月19日金曜日

『恋愛時代』 〜しっとりしたいい作品

『恋愛時代』、木曜日深夜という時間帯で、普段は観ないのだが、亡くなった野沢尚さんの作品というのでビデオに撮って観始めたけれど、やはりよく出来た作品だった。



彼の原作の小説らしいが、私は脚本家としての野沢さんしか知らなかったので社会派の作品かしら?と思ったら、タイトルの通りの恋愛物で・・・多分この人、ひねくれたロマンチストの正直者だったのではないだろうか?と感じた。

比嘉愛未さんふんする衛藤はると満島真之介さんふんする早勢理一郎の離婚した夫婦の物語なのだが、次はよい結婚をして欲しくて、お互いを不幸にしないために自分のことはそっちのけにして思いやり合って、奮闘する話しだ。

どう見ても、お互いにまだまだ好き合っているのは観客にはよく分かる。気が付いていないのは本人たちだけ。
けれど、奮闘しているうちに次第に本人たちも気が付いていないお互いの心の中に隠れている真実が出てくる。

結局離婚した原因も、すれ違いもみんな思い込みによるお互いへの気遣いから生じたものだったのだが、少しずつそれらがとうもろこしの皮を剥くみたいに明らかにされていく。

自分が苦しいから人の心が見え、自分の我慢が周りのお節介を生み出し・・・優しいからこそ引き起こす二人の別離へのやりとりが面白い。

コミカルでありながらほろ苦く、女性の計算高さや細やかさ、男性の言葉の足りなさや融通のきかなさが、ずれを導く、その過程がとても面白い。特にはるの真っ直ぐな優しさと率直さと不器用さは、人間らしくて素敵だ。

二人の行方を見守る周りの人々の温かさが、私にも浸透して来て、本当に応援する気持ちになってくる・・・久しぶりに心が温かく、カラッとしているのに妙にしっとりした気持ちになった。多分、登場人物たちがみんな思いやりのわかる善い人たちだったからだろうか・・・

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