2018年12月18日火曜日

僕らは奇跡でできている 〜固定観念から抜け出そう!

久しぶりに気持ちの良い作品だった。
毎回心が洗われ、じんわり涙で潤い、しかもその時湧き出る何か温かいエネルギーで自分の中にこびりついている化石みたいな何かを溶かす体験をした。がんじがらめになった固定観念を紐解く・・・

相河先生とおじいちゃんと鮫島教授、そして私自身の心の中を代表する固定観念の塊の育実先生に感謝です。学生たちも山田さんも樫野木先生、沼袋先生も出演者全員が主役でした。

スーパー・ビーバーズの『予感』を聞きながら書いています。



『カルテット』とこの作品の間にNHKでやった竹野内豊さんと麻生久美子さん主演の『この声を君に』についても当時書きたかったのだが、書いている間がなく時を逃してしまった。又いつか触れたいと思う。

こんなことをしているのを見られたら、人が何て思うか・・」というセリフに対して、
「誰が思うんですか?」という問答が色々な場面で繰り返されるが、これは日常の自分が勝手に作り出している常識の壁をとても上手くついている会話だと思う。
自分が作り出した妄想に縛られている自分の姿に気づく瞬間が素敵だ。

人は一体「何って言うんですか?」虹一くんがベランダから抜け出した時だって、お母さんはそれを見られたら恥ずかしい〜と思い、一輝さんは非常梯子を使って行動する虹一をすごい!と褒める。
忙しくて一度も料理教室に行けずそれがストレスになっている育実先生に向かって「だったら料理教室をやめちゃえばいいじゃないですか」と平気で言う相河先生のこの発想転換の瞬間も私に感動を与えた。

家の中に不用品がたまってストレスになっている自分。不用品と呼ぶにはまだ何かに使える、環境問題としてもこういうものをただ捨ててしまうのは良心が許せない、ものを大切にしなければ、何かに活用しなければ・・・と葛藤しているうちに我が家にゴミの山が出来上がる。

これはやはり相河先生的に考えたらそんなに辛いのなら、まず綺麗さっぱり全部捨ててしまおう!まっさらになって仕切り直しをし、そのあとは不用品になりそうなものは買わないもらわない、増やさない・・・自分をいじめて壁の中に閉じ込める必要はない、可能性を狭めるな!決断をしなければならない時があるのだという発想に至る。

そんな物質的なことばかりではなく、心の中も同じなのだ。
私の心の中は押さえつけ苦しめる義務感や見栄でいっぱいなのだ。そしてそれを整理して自分が本当にしたいことを選り分けていかねばならない。
人の顔色でなく、自分の心を見つめること、この歳になってもまだ自由を奪われている自分は、自分の中から変えていかねばならないと思うのだ。

静かな作品なのだけれど、本当に色々なことを考えさせられた。
橋部敦子さんの脚本と小技の効いたゆるみのあるとてもデリケートな演出に心から感謝です。二度観ると、観察者の目は細部にわたり、面白い発見が多数あります。



0 件のコメント:

コメントを投稿