2020年12月23日水曜日

今シーズンの後味の良い3ドラマ〜この恋あたためますか、恋する母たち、姉ちゃんの恋人

 以前はドラマを観ていて、「どうしてそのことを相手に言わないの?」「隠さないで相談したらいいのに〜」「隠したり嘘をつくからややこしくなって、こうなってしまうのダァーー」とイライラすることが多かった。「君の名は」のすれ違いみたいなのを人は好むのだろうか?

ところが今シーズンの3つのドラマは実に気持ち良かった。全部恋の話なのだが・・・


「恋あた」のまこっちゃんは、キキに対してとても正直で誠実そのものだった。誠実すぎて告白が遅れてタク兄にキキを持って行かれちゃったけれど、それでも相手への思いやりは素敵で、自分にも卑下せずに暗い影を残さないで済んだ。コンビニの仲間も正直だし、里保さんも思いやりがありすぎるけれど現実がよく見えていて強い。

「恋はは」は不倫とか浮気とか蒸発とか・・あまり好みじゃない内容だけれど大石静さんの脚本だし・・どんなもんだろう?と思いながら観はじめたら、なんとさばさばしていて実に面白い。3人の女性のそれぞれの夫婦が壊れて、別の人とくっつくのだけれど、普通だととんでもないことなのに全然それを感じさせずに「なるほど、これもありだな」と思わせてしまう魅力があった。女性の強さは面白い。

言いたいこと言うべきことをはっきり伝える姿勢が、恋あたと共通している。

その上すごい実行力。結婚とか形に縛られずに心地よい振動数に共鳴する相手と思い切り正直に繋がって行けば人生が豊かになる。本当の幸せを掴むにはなかなか良い判断基準だ。普段は相手を尊重して受け入れ流されていてもいいけれど、決めるときには決めないと〜というような意味合いのことを言った丸太郎さんのセリフが妙に心に残った。

本能と直感と理性と誠実さがうまく交差していた。3人の名門校に通う息子たちの役割もその自由さを後押しし表現する上でとても大きかった。これからの人の生き方の一つの方向が描かれていたような気がする。

最後に姉ちゃん恋人も、真人くんが桃子さんに正直に自分の辛い過去を告白する。そしてその時は当然二人の関係が駄目になる覚悟はできている。隠したままでは先に進めないのだから、彼は正直にならないといけないし、それを受け入れられる相手を選ばねばならない。重すぎてつぶれてしまったり、逃げたくなる人もいて当然なのだから。

桃子は受け入れ、弟たちにも正直に伝える。この姉弟たちのあっけらかんとした正直な繋がりに感動する。信頼し合って居るのだから成り立つのだ。みんなが願うのは姉ちゃんの幸せばかりだから、姉ちゃんが幸せになってくれればいいのだから。そのためには全員でサポートする。前向きでみんな辛い過去にも暗さがない。

岡田恵和さんの作品は擬似家族というか、他人でも家族のようになれるものが多いが、これも血族だけに頼らない新しい家族の形、人間のつながりを提示していると思う。


今シーズンの3作品は常識や思い込みでコチコチになった人の心をほぐしたり、発想の転換を示したり、そんな意味もあり、なんとも後味が良かった。無理やり話を長引かせたり、盛り上げたりハラハラさせたりするために、心の闇をわざと作り出す技巧のようなものがない、自然で率直な気持ち良さがあった作品で今年がしめくくれて良かった。

コロナ禍のおかげで生み出されたのかもしれない。

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