2022年4月5日火曜日

『鹿男あをによし』

 「これ好きなんだよなあ〜」2008年にやった番組なのだが、どこにもない、あるいはどこにもなかった雰囲気の作品で、とても面白かった。

私は時にはいかにも作り物っぽい作品が好きで、わざと舞台っぽい演出だったり、設定がわざとらしかったり、でもとても丁寧に作られている作品は大好きだ。

この『鹿男』はその後もずっと心に残るいい作品だった。たまたまTverで見つけて!再び見てしまった。やはりかなり完成度の高い作品だ。


私はまず音楽に魅せられた。番組が終わったあと探してテーマ音楽を買ったほどだ。今でもドライブ中に聴いている。鹿たちが走っている映像と音楽がバッチリで、今回も「やっぱいいわ!」と思った。メロディーは躍動感があって血が騒ぐ感じから静まるまで奏でられ、なんともエネルギーが修復される。

それから、鹿がいい!グリーンマイルのネズミのミスター・ジンクスではないが、大変重要な役割を果たしている。ロボットとCGを使っているそうだが、私にとっては完全に実在していた。なんとなく品が良くて、「センセイー・・」という山寺さんの低い声はオヤジなのだが、表情や姿全体は美しくすらある。そっと最後に先生を見送るシーンなんて、言葉がないのに今までの思いが聞こえてくるようなシーンで、温かさが心に残り本当に素敵だ。

多部未華子さんはこの作品で初めて意識した。彼女の個性的な目は『使い番』にピッタリで、鹿になって焼き付いてしまった。なんと凜として美しい俗っぽさのない子なのだろう!その後注目の女優さんになったが、見事に花開いている。我が家では彼女のあだ名は「まいしか」My 鹿だ。

出演者全員がピッタリで、曲者の役者さん揃いで、本当に素敵だった。リチャードの児玉清さんなんか仕草のせいでそのうちに狡そうなネズミに見えてくる。今はもう亡きリチャードという名がぴったりの素敵な役者さんだった。長岡先生も狐っぽいし、小川先生と堀田さんは顔が鹿になるせいもあるけれど、ほとんど鹿だ。玉木くんはあの目のせいでほとんど鹿と区別がつかない。どっちが本当の顔?などと思う程、作品に溶け込んでいた。彼の目の美しさのせいで鹿の目が更に強調されて綺麗に仕上がったのだろう。

藤原先生は2008年ではなんと騒がしい・・とうっとおしいとすら思ったけれど、今回は何と真っ直ぐで勇気があってチャーミングなのだろう!と少し印象が変わった。さすがの綾瀬はるかだ。まあ、うるさいことには変わりがないのだが、鹿まで丸め込まれてしまうところなんかなんだかすごく愉快で声を上げて笑ってしまった。

私は京都や奈良が好きでしばしば訪れる。その古き都、奈良が舞台なのがいい。そして古民家風の下宿屋の設定が又最高だった。古墳や遺跡や発掘物・・・雰囲気がすごい効果を与えていた。

舞台と出演者と脚本と演出と音楽がミステリアスな原作とバッチリマッチしたすごい作品だ。ああ、楽しかった。あんな所にあんなメンバーで住んでみたい。その時は福原先生にもいてもらわないと・・・

地球上に危機が迫っている今の時代に、ウクライナ戦争やコロナのパンデミックや地震や洪水など数々の天災で人類が滅びてしまうかもしれない時に、八百万の神に支えられた誰かの活躍でナマズを鎮めて解決してもらえたら・・・などと考えてしまう私だ。

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