2024年3月25日月曜日

『精神科医が教える「静かな人」のすごい力』 by 大山栄作

 内向型の人間の持つ力を書いた本なのだが、私は自分を内向型と思っているのでつい注文してしまった。どんなことが書かれているのかしら?と好奇心が騒いだ。人を外向と内向に分けることには少し抵抗があるが、予々自分の内向性を持て余す時もあるので興味深く読むことができた。しかしこの本の中には、内向型が良いことばかりで、少々エコ贔屓をしているような感じもしないではないけれど・・・


人によっては「私は内向的な人間なので」というとびっくりする。自分以外の人間がいると気を遣ってしまい、ほどほどに明るく人との交流がスムーズに行くように配慮するので、好かれる人になる傾向がある。人の話をよく聞き、その人が引き出したい内容の話題に入り込むので、会話が弾むせいかもしれない。人付き合いは悪くないのだ。だから人はむしろ外交上手の外向的な人間と思うのかもしれない。

けれど、実際は一人を好み、電話恐怖症だし、人と会う日は前から緊張してお腹が痛くなる。パーティーとかいうとメンバーにもよるが気が重くなる。もっともいざ出席してしまえば、それなりに楽しんでいるので二面性はあるのだが・・。隠れ内向型か。

この本では内向型の人を「静かな人」と呼んでいる。その人には科学的にも証明されている潜在能力があるというのだ。脳の構造、血流も違うらしい。著者は外向型社会アメリカで働く精神科医で、ご自分の内向性に大変苦労されたようだ。けれど、色々なことを通してありのままの自分を受け入れその能力を十分に発揮することができた。そしてこの本を書かれた。

興味深かった事柄の一つに、「アサーティブネス」というのがあった。直訳では「自己主張すること」ということらしいが、「相手を尊重しながら責任ある主張や交渉を行うコミュニケーション方法」ということらしい。つまり、主張をうやむやにしたり、遠慮ばかりしていないで、相手のことを思いやりながらも、自分の主張をしっかり伝えること、が大切だということになる。アメリカ社会では特に大切なことだと思う。内向的な人は色々考えていて心の中にはたくさん蓄えてきるのだけれど、それを表に出さないから通じない、相手にされないという状況が起きやすいのだけれど、ここでは自分らしさを持って主張することが大切なのだ。自分の考えを持っていること。これはとても思い当たり、内向型でもこれができればその人はそこにきちんと存在できると思う。

内向型が潜在的に備えているものに、冷静さ、思慮深さ、洞察力、客観力、独創性、集中力、傾聴力、共感力の8つがあるという。ちょっと凄すぎる気もするが、本を読んでいると、確かに思いあたる点もある。それらを活かして生きていく力のようなものが体内に染み込んでくるような気がする本なので、内向的な人が自信喪失や疲れている時に読んだら嬉しいかもしれない。一つ一つ詳しく説明してあるので、読み進むほどに大山先生に受け入れてもらって静かに心が治癒していくような気がする。さすがに精神科医!いつの間にか治療されていたのかも。内向型もなかなかだ。

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