2011年4月3日日曜日

弱音を吐こう介護日誌⑧ 〜また、やられたー!!


オババはお花が大好きだ。

残念ながら両親が住んでいた長野の家は日当たりが悪かったし、庭も小さかったので、あまり植物には適さなかった。
父も野草が大好きで、仕事の合間や休日にはもう一つの大きな家のほうへ行って、庭弄りばかりしていた。
器用で池まで作ってしまう人だったから。
父の仏壇にも茶花程度の素朴な花が必ず添えてあったし、年老いてからは本物そっくりの造花でもそれらしく飾ってあった。

先日母が、珍しく物に興味を持って立ち止まり、ホームのエントランスのお花をじっと見て観察していた。
スタッフの方が、「残念ながら、これは造花ですよ~、こちらは本物ですが」と言うと、「やっぱりね。でもきれい」と本物そっくりのカーラに本当に珍しく関心を持った。

これは良い!と思ってオババのお部屋に花を置いてあげようと決めた。
「お部屋が暖かいので、すぐに枯れちゃうから、とりあえず造花でもいい?」と聞いたら嬉しそうに「造花がいい」と答えた。

翌日、私は家にあるお友だちのTさんが紙粘土で作ってくれた菜の花とチューリップと細い緑の葉がカスミソウのような役割をしている花束を持って来た。
透明の長方形のガラスのコップの中にかわいいガラスのボールをいくつもいれてあるので、ちょうど納まって上手に花を活けることができる。私が病気をした時に、元気がでるように、とお見舞いに作ってくださったものだった。

黄色の菜の花、淡いピンクとうす緑のチューリップ・・・「わあ、きれい! 春らしくて素敵ね」とオババはとても喜んでくれた。本当に嬉しそうだった。
帰る時にも「お部屋が明るくなったね」と言うと満足そうに「うん」と頷いた。

翌日、Kzさんとオババを訪問した。
棚にある花瓶を見て、Kzさん曰く「ソラさん、その水の色変じゃない?」
「み、水ぅーーーーー!!何で水が入っているの??」

花瓶のグラスの中はどろどろ。水は濁って、溶けかけたアイスクリーム、ミントとバニラとイチゴのゆる~くなったアイスクリームだ。
水に浸かっている部分の紙粘土がみんなとけてしまっている。
ピラニアに食べられてしまった残骸みたいだ!

Kzさんは、「ババちゃん、お水あげてくれたんだね」と・・・ソラさん、怒ったら駄目だよ、と合図をする。私は言葉を飲み込みつつも、水を捨てながらぶつぶつ・・・
オババは私が何を慌てているのかさっぱり分からないで「折角水を入れてあげたのに、浮いてきちゃうのよ。全く変な花で、、、そこを切っちゃえばいいよ」と過激なことをいう。
花が生花ではないのではという疑いは皆無。全く本物と思い込んでいる。

ヤレヤレ、またやられた!
数日前に、知人の全ての住所と電話番号の書いてある紙の束を、びりびりに破られて捨てられたばかりだった。確かに美しい物ではなかったが、母が自分で書いた住所録の束だったから、まさか捨ててしまうとは思わなかったので、不覚であった。
コピーを取っておかなかった自分を恨む。

ホームから帰るとき、玄関でお花の残骸を見せながら、赫々云々と経緯を話したら、スタッフの人々は感激して、
一人は目を潤ませて「まあ、優しい~!」もう一人は微笑ましくて仕方ないという顔をして「なんて可愛いんでしょう!」とマジ感心していました。

うそでしょ!
Kzさんといい、スタッフの人といい・・・老人扱いのプロはそのように見れるの??
みんな自分の親じゃないからでしょ!大事なお友達の思い出の品じゃないからでしょ??
私は認知症がここまで進んでいるのか!!というショックと友だちに申し訳ない気持ち以外の何者でもなかったのに・・・みんなは神様だ!

でもこの3人の反応で救われたのかもしれません。

人間、一人で一つの価値観で生きてはいけませんね。
しれにしても、オババは私の予想外のことばかりしてくださる~~まだまだ戦いは始まったばかりなのだ。これから何が待っているのだろう? ぞぉーーー・・・

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