2013年6月16日日曜日

『真夜中のパン屋さん』 〜焼きたてのパンの香りがする話

日曜日の夜10時からのBSのドラマ。

タッキーは大河ドラマで義経役を観た時に、「なんて下手くそなんだ!」と役者としては観る気にならなくなった人だった。
けれど、このドラマのタッキーは下手くそがピッタリはまっていて、実に良い味が出ていた。

夜11時から開店する『真夜中のパン屋さん』そこには思わず胸が熱くなるような、目頭がうるむようなしっとりした話が盛り込まれていて・・・人の心の孤独や寂しさをついて厚みのある、けれど焼きたてのパンのような香ばしい柔らかさに包まれる作品に仕上がっていた。



私はこういう、日常の一人一人が心の扉を開けるようなドラマが大好きだ。哀しみ、喜び、やるせなさ・・・

そして、この作者は人の心の動きがとてもよく分かっている人だと思う。素直になりたいのになれなくて哀しい人がたくさん。

自信のないこだま君のお母さん。
一人であまりにもけなげに生きている、けれど素直になれないとても魅力的なのぞみちゃん。この時が土屋太鳳との初めての出会いで、彼女はとても素敵な女優さんになると思った。
変態ストーカーの六角さん扮する脚本家のまだらめさん。

そして、あまりにも温かく優しいニューハーフのソフィアさん、この人うまい!
ソフィアさんはのぞみちゃんと同様私の目にいかなった有望株!ムロツヨシという役者さん。この人は色々な役のできる個性的な役者さんだと思う。

もう一人素直になれない、のぞみちゃんのお母さん・・・

ブランジェリー暮林の二人組のオーナーの暮林さんとパン職人のひろき君(桐山照史)。

暮林さんは心に、亡くなった奥さんのみわこさんへの罪悪感を抱えて生きていて、マジ不器用でくそ真面目、、、パン作りも不器用なら、生き方も不器用。けれどその誠実なクラムジーさが、温かさを倍にしている。このもどかしいほどの受け入れ方と寛容さと不器用さは何だか最近のKzさん(私の夫)を連想させる。

その分だけ、ひろき君は心も柔らかく器用だ。パン作りも見事、柔らかく丁寧で指先から心が伝わってくるみたいだ。人の傷みが分かっていて、だから美味しいパンが作れるんだ、って気がして来るほど自然だった。

心の傷みを抱えて生きている人は、多分人の傷みも分かるのだろうと思う。受け入れる、拒絶するの違いはあるにしても、分かってしまうから、どこか優しい。

charaのエンディングテーマもいい感じだ。
みんなが家庭に入ってしまう時間に、ひとりぽっちでいる人がふっと立ち寄れる場所。
そんな温かい場所があったらいい、と孤独な私は思う。

嵐のような日々が続く中、久しぶりに穏やかな気持ちになれた。

素直になって欲しい人がいる。
素直になりたいけれど、なれない人がいる。
分かるんだ、自分が素直じゃないから・・・

ひろき君がのぞみちゃんを迎えに行ったみたいに、迎えに行きたい人がいる。
のぞみちゃんみたいに、素直になれなくてもいいから戻って来て欲しい。
そしたら玄関で暮林さんみたいに、「おかえり!」って迎えたい。

それにしても作中に出て来る焼きたてパンのおいしそうなこと!のぞみちゃんのパンの食べ方は最高だった!彼女本当に美味しそうに食べる。

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