2013年6月26日水曜日

『ローマでアモーレ』 〜To Rome with Love  by Woody Allen

最近のウッデイ・アレンは少々疲れる。
私が歳をとったせいか?それとも彼がマンネリ化を始めたのだろうか?

若い頃、そのシニカルさが好きで、結構Woody Allenの作品は観た。

『アニー・ホール』『マンハッタン』『カイロの紫のバラ』『ギター弾きの恋』などはとても面白かったし、わりと好きな作品だった。

何となく都会的でおしゃれで、勝手で煙に巻いていて・・・ちょっぴり知性を必要とするからニューヨーカーのスノッビィさをくすぐるのだろう、私も一つ一つの単語や小道具で「うん、うん、それ知ってる」とか、「分かる分かる、こんな所にこれ置いて・・・知る人ぞ知るだわ〜」などとくすぐられた一人だった。

最近の各都市を題材にしたシリーズでは、スペインの『それでも恋するバルセロナ』フランスの『ミッドナイト・イン・パリ』と今回のイタリア『ローマでアモーレ』を観ているが、ちょっぴり疲れを感じ始めた。


















彼の文章を読んでいてもそうなのだが、言葉が多過ぎ、あっちこっち飛んで、縦横無尽に動き回りクラクラして来る。映像も然りで、とても美しいのだが彼の文章と同じペースで進み、めまぐるしく変わるそのペースといつもと同じパターンに少し疲れて来たのかもしれない。

観終わった後で、豪華なフルコースを詰め込んだ後の胃もたれに似た感じを持った。
しつこい、くどい、量が多過ぎる・・・ご馳走ばかりが続きもう入らないよ〜!!

思い切り笑えないのは文化の違いか、あるいは多分私が歳をとったのだろう。お茶漬けが恋しい。



有名な名監督ということで、彼の名声を駆使して思い切りやりたい放題に映画を作っている感じがして、もう、底に流れる手法には新しいものが感じられない気がする。

という批判はこれくらいにして、今ここまで書いて『ミッドナイト〜』のコメントを読んだら同じようなことを書いていた自分を発見!やれやれ、私も進歩がないのか。

私はむしろ『それでも恋する〜』"Vicky Cristina Barcelona" は好きだった。
ペネロペ・クルスが大爆発!彼女の際立った演技に、何てビッグな女優になったのだろう!!と再認識ができたし、七変化する怪優ハビエル・バルデムも『ノーカントリー』とは別人になってニヤケながらもペネロペに振り回されて素敵だった。
大笑いしたし、リズムにのって身体が動いたし、確かに外国人が面白おかしく見た浮ついたスペインかもしれないが、先入観なしで映画として観れば後味は悪くはなかった。
音楽がピッタリでCDを買ったくらいだもの。

さて、この作品でもやはり娼婦マリア役のペネロペが光っていた。
各界の要人が集まったパーティで会う男性ごとに「やあ、マリア!」と声をかけられ、
「no,no 私、今日はミリーなの、ミリーよ」とすっとんきょうに答える。どう見ても街角に立っているご商売用のコスチュームなのだが全く気にしていない、堂々としたものだ。「そう、今日はミリーの代役!」と大真面目(笑)

男たちは、すかさず「今日は家内も来ているから内緒にしておくれ」と、軽く、ツウツウの仲といった感じで言うのだが、その後にちゃっかり小声で次回の予約を取る。マリアにとっては日常茶飯事だから、相手が大物でも全くくったくない。
その間合いが、和やかで打ち解けていて偉大な男性も可愛い男の子!って感じで、何ともユーモラスなのだ。

彼女は『ボルベール』の時にもビックリしたが、あの大女優たる貫禄は、『オール・アバウト・マイマザー』の頃の清楚な彼女には想像もつかなかったものだろう。

そしてヘルプ』でシーリアを演じたジェシカ・チャスティンに感動したように、建築家の卵のジャックの恋人サリー役のグレタ・ガーウィグが、今回の掘り出し物だと感じた。見た途端にビビーーンと来た。彼女は多分大物女優としての良い素質を持っている。

内容は、お腹一杯なのでご自分で食して下さい。
今回はこれまで。

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