2011年6月2日木曜日

弱音を吐こう介護日誌⑫ 〜もう、ヤダ! 〜認知症戦争

ここ2週間大変忙しかった。
オババの所へは週2回もしくは3回しか行けなかったが、普通の人々に比べたら兄達も2回来ているのだから十分過ぎる待遇だと思う。

行ったなり、受付で捕まった。
大概私が行くと、まずスタッフの人の相談事から始まる。
又お風呂で渋ったかな?と思ったら、今回はお風呂は素直に入ったのに、着替えが終わった途端、タオルがないと大騒ぎしたらしい。
すでに洗濯室に回ってしまったらしいが、納得しないので、看護婦さんが一緒に捜しまわってくださり今洗濯中だからと取りあえず納得してもらったということだ。
「私は、あれがないと顔もふけない」と訴え(引き出しには何枚もタオルが入っている)
「一番気に入っているタオルなのに」とすごい剣幕らしかった。(本人どのタオルかも分かっていない)

すると、そこにおばばがやってきた。
スタッフはもう忘れているだろうから蒸し返さないように・・・と思っていたら、「さっきはおねえさんありがとう」と看護婦さん(婦長さんみたいな役割の年配の方)に言ったので、顔を見合わせてしまった。
お姉さん・・・という認識も、少々・・??彼女は誰の顔も見ていないのかもしれない。

部屋に行くと、私への苦情の連発。
お兄ちゃんたちは毎日来てくれているのに、あんたは全然来ない。来ても直ぐに帰ってしまう。
「先週は忙しくてゆっくりできないと説明したじゃない」(認知症にこれを言っても無駄だと言うが、私はちゃんと説明する、だってこの人分かっているような気がしてならないから。しらばっくれの天才だもの)
「昨日も、一日中待っていたのに・・・」
「火曜日は毎週来れないって言ってあるでしょ?私の一番大事な日で、この日だけは来れないの。ここに書いてあるでしょ?」カレンダーの大きな文字を見せる。
「そんなもの、みないわよ」
「みんなに迷惑かけるからちゃんと見てよ。今日が何日か見て、今日の予定はどうなっているか、誰も来れない日だったら、それなりの過ごし方があるでしょ? 何でもここに書いてあるから。まだ文字が分かるんだから、お願いだから読んでよ。来れない日に待っていたってストレス溜まってバカみたいよ。こっちも駄目な日まで待たれたって本当に困る。責められているみたいで迷惑だよ、だってどうやって無理しても来れない日は来れないのだから。」
「私はそんなもの、見たくないの」

そこで、むかっとするが、バラの花を飾ってあげて、ミネラルウォーターを小さなボトルに分けてあげて、持って来たKzさんのお土産のお菓子を冷蔵庫に入れて・・・
11時に来たのに、苦情を聞いているうちにもうお昼だ。

毎週水曜日は一緒にお昼を食べる日なので食堂へ行く。
前回ここに書いた一緒にお食事するグループにはもう加わらないらしい。大きな声で話す口の悪いMさんとけんかをしたらしい。
「あんたうるさいから黙っててくれない!?」と本人に向かって言ってしまったそうだ。
言った直後にその話を聞いたが、それから彼女はオババに口をきかなくなってしまい、先週行った時にも同じテーブルでお食事したが、口を一文字に閉じたまま一言も口をきかなかった。恐いお顔がひきつっていた。相当オババの言葉に腹を立てたらしい。本元の張本人のオババは、その原因が自分にあることはすっかり忘れてしまっている。「あの人私に口をきかないんだよ。あんな人と一緒に食べても美味しくないから、今は別のところで食べているの」とケロケロしている。
今は一人のおじいさんと、奥さんが車椅子でご夫婦で入居されている方々と4人のテーブルらしい。

食事中に、Mさんの話をする。私も2度ほど一緒にお食事しているから分かっているのだが、彼女の声がうるさいとか、失礼なことばかり言うとか色々言うので、
「分かっているからそのことについては、もう黙って!何度もお話ししているから・・・それにあまり大きな声で言うと聞こえるから、もうその事はここでは言わないで。お部屋に戻ってからにして」

私は人を傷つけるような言動は大嫌いだ。そういうことを無神経にする人はもっと嫌だ。
嫁として散々痛めつけられてきているから、そういうのはたくさん!大嫌いだ。いくら嫌な奴でも言いたくない。オババはそういうのが大好きなので、どんどん強くなる。だったら人を巻き込まずに一人でやるか、私以外の別の人を相手にして欲しい。

私と母は、至ることに関して本当に価値観が違う。私は絶対にそういう無神経な人間は嫌だ。
いじめとか許せない!オババはいじめる側、私はそれに加わるのが嫌で、断っていじめられる方かもしれない。

でかい態度での食事が終わり、お部屋に戻って、今度は又愚痴の連続。
もう飽きた!よくここまで言うわ!そんなに死にたかったら勝手に死んだら!どうして私にばかりそういうマイナスのネガティヴなことばかり言うの???折角体調が戻ってきたのに、又ストレスで帯状疱疹になってしまう。怒鳴りたい気分をじっとこらえて。

何よりも嫌なのは、女々しくて「ソラちゃんしか頼る人がいないのだもの、毎日毎日朝から待っているのに・・・・」
「お兄ちゃんだっているでしょ?お兄ちゃんに頼めばいいでしょ?」
そのうちに、お兄ちゃんは優しいのに私は優しくない、そういう話され方をすると頭が痛くなって死にたくなる・・・etc 次から次へと文句ばかり、人を何だと思っているんだ、糞ババア!!

認知症だからって何だって許されると思ったら大間違いだよ。私は怒りで、「ごめん、もう帰る。私そういうの嫌いなの。ずるくて見てられない。何でも人のせいにして、自分では何も努力しない。顔も洗わないのに、暇で死にそうだとか、カレンダーも見ないで、何日か分からないとこぼされたって困る。もう20回も今日何日?って聞かれているよ。聞く前に自分でカレンダーを見てよ。それだけ文句言えるなら、まだ間に合うよ」

これで、オババが怒り出し、泣き出し、大喧嘩になった。
仕方ないので、「そんなに出たいなら、今から散歩に行こう。そんなに買い物したいなら、コンビニまで歩いて行って、何か買って来よう。気分転換になるよ。」
オババは、「あんたとなんか行きたくない。優しさのかけらもない。」と拒絶。
「私は変われないから、ごめん。申し訳ない。じゃあ、帰るね。明日は雨だから行きたくても、外に出られないから、行くなら今しかないよ」
と言って部屋を出ようとすると、行きたい気持ちと明日は雨とのかけ引きで『欲望』と『プライド』がぶつかってどうしてよいか分からず泣き出した。子供より始末に悪い。

それでも内心はどうしても行きたいらしいのが見え見えなので、少し折れて優しくなって「じゃあ、行こうよ!」そういって着替えさせて連れ出し、一回りしてきた。もう3時を過ぎていた。
お菓子にキャラメルに・・・etc 冷蔵庫に一杯あるのに、どうしてこんなに買い物したいのだろう?
散歩が終わって4時半、やっと私は家に帰れる。 でも、午前中にできなかった、掃除と食事の準備とネットでの振込みと、郵便物の整理と、アイロンがけと英語の予習と・・・・まだまだやらねばならないことは山積みだ。
11時から5時・・・??又愚痴聞きで一日暮れてしまった。負のエネルギーでくたくた。
楽しいひとときの後だったら、こんなこと全く苦にならないのにな。

多分、こうしたら?と方法はたくさんあるだろう。
一番よいのは他人だと思うこと。ただの病人だと思うこと。そうすれば会っている時だけでも優しくなれる。何を言われても受け入れて(今もやってはいるのだが)自分を完全否定して飲み込み、ご機嫌よく過ごせれば早く帰ってこれるし、あちらも後味が良くて楽しいに違いない。私に課された仕事だと思えば・・・その方がはるかに生産的で、合理的で、文句なしだ。

しかし、私は実際親しい人との関係に、そういうことはできない。 不器用で融通のきかない不出来な人間だ。
心で接することしかできないのが私のアイデンティティーなのだ。そうやって自分は人と接し、生きてきたのだから。心の通じた良い関係をそうやって築いてきたのだ。
母に本当に心から優しくなれる日がいつかは来るだろうと思う。そして、その時母が何も分からなくなっていて後悔しても仕方ない、そう思う。

その時が来る前に優しい自分になれたら、とても素晴らしい。いくら努力しても今の自分に出来ないことだから。できれば早く自然にそうなって欲しいけれど・・・・。私はできた人間でないから、無理はしない、、、、多分、来る時が来たら、来るだろう。

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