2013年4月3日水曜日

認知症の特徴 〜被害妄想編〜

母の物忘れは大変激しいのだが、ある種の被害妄想だけは記憶として残っている。

入所当時、自分の物が人に盗まれるのではないかと心配で心配で、心をすり減らしていた。
洗濯物を持って行く人、コップの消毒に来る人、掃除に来る人などは全員容疑者だった。
雑巾用タオル一枚でも敵意むき出しだった。

何度も○○がなくなったと訴え、そのうちに架空の物まで無くなったと思い込むようになり、探すから洗濯室に連れて行けと訴え、まさに被害妄想の塊になった。
何かを持って行こうとすると、目を剥いて反対した。

認知症の特徴 ~固執編~』や、『認知症の特徴 〜記憶力低下と無気力編〜』 でも書いたが、盗まれることに関しての母の不安は凶暴性こそ減ったが、まだまだ続いている。

長い間、私の持って行ったスカーフが見つからなかった。
首が汚いから隠したいと言うので、持って行ったものだ。
何処を探してもなく、事務所に届けた。もちろん、「多分本人がどこかにしまったのだと思うけれど、もしどこかで見かけたら母に戻して欲しい」とお願いしておいた。

今日、発見!
シルクのハンカチと供に、袋に入れて隠してあった。
本人は、『私に返さねばならない大切な物』と心に刻んだようで、大事にしまったのだろう。

「ここにあるものは全部お母さんの物だから、返す必要はないのよ。それより使ってね」と何度伝えても、次の時にはどこかに奥深く仕舞ってしまう。しかもどこに何を隠したか忘れてしまうので、探すのに時間がかかること・・・

ま、またやられたー!!!のね』 で書いた、ローラアシュレイのプレゼントの生成りのカーデガンは、本日、ついに黒のマジックで表の裾に近いきれいな模様の上にかなり目立って漢字のフルネームで名前が書かれてしまった。

「お母さん、名前ちゃんと書いてあるのにどうしてこんな所に書いちゃうの?もうよそ行きに使えないよ。これで何枚目!!!」
さすがの私も腹が立ち、怒鳴った。
「だって、大事なものだから盗まれたら困るから・・・」
「盗まれる前に、着れなくなっちゃうでしょ?囚人じゃないんだから番号や名前をゼッケンみたいに大きくど真ん中に書く必要ないでしょ??違う?」

「お願いだから、土曜日に持って来た、二枚のきれいなカーデガンには名前書かないでね。もう、内側にきちんと書いてあるんだからね。あれはよそ行きになるんだから、絶対にマジックで台無しにしないでよ。」
「だって名前は目立った所に書かなくちゃ、私のだって分からないじゃない」
「・・・」(筋は通っている(泣))

「理由は何でも良いから、とにかく書かないで。今度書いたらもう私ここへ来ないよ」
「来ないなら、仕方がないわねえ」とご本人主張が続く。
「本当に来なくていいのね? 分かったわ」(くそばばあ!)

私も認知症の御仁を相手に、本気になって大人げないが、
どうか、記憶に残って下さい「ソラちゃんが何だか怒っていたなあ」と。


帰りがけにクローゼットのドアをしめようと中を見たら、ハンガーにかかっている全部の洋服の袖がお隣同士お互いに結んでつないであった。
多分知恵をしぼった盗難防止策なのだ。だって、一つ取ろうと思ったら、芋づる式に全部つながって出て来てしまうもの・・。そこまで、心配でたまらないのだろうと思うとちょっと哀しい。

他のことは全部忘れてしまうのだから必死で頭を使っているということで、脳の為には良いことなのだろうか???

が、思わずうっかりと「おぬし、できるな・・・」と言ってしまうところだった。

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