2010年9月25日土曜日

『セラフィーヌの庭』〜Séraphine


「すごくいいから、絶対観て!お薦め!」という万人向き推薦映画ではないが、強烈に心に刻まれてとても印象に残る作品だ。
多分彼女の描く絵画と、主役と呼ぶには思い切りぶさいくなセラフィーヌが、実在した人物であるからこそと言うのにふさわしく、見事に調和を見せているせいだと思う。
激しいのに静か、純粋なのに毒々しい、執着することと見向きもしないこととのコントラストが息苦しいほどに描ききれているように思える。

音楽と役者と絵画と風景が素晴らしい。 特に色の使い方は哲学的だ。

アルモドバル監督の"Volver" を観た時、あの色彩の鮮やかさにガーンと魅了されたのだが、あのときの衝撃と似たような感覚が彼女の最初の絵画を目にした時にやってきた。突き刺すというか、体内に入り込んでくるのだ。 すごい!素朴なのに、彼女の世界でどう変換されているのだろう??この不細工な女性の頭の中、あるいは心の中はどうなっているのだろう?? あの鮮やかさはとても印象的だった。 ルソーなどと並び称されたこともある彼女を私は全く知らなかった。

一途さと芸術、ひとつのことを全うできる人独特の狂気。
貧しさと豊かさ・・・そしてその違いが生み出す物・・・この作品はコントラストだらけだった。

私のような平凡な人間には持ち合わせていない世界に首をつっこむことで、自分のインデックスに別の扉を増やしたような気がする。
色々な意味で印象的な作品だった。

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