2010年11月17日水曜日

『三つ数えろ』 


今クラスでやっているレイモンド・チャンドラーの"The big sleep" (『大いなる眠り』)の映画の日本語タイトルだ。

映画の中にこの台詞があるが、何故この本題と全く関係ないこんなタイトルになったのか?ちぐはぐさにあきれてしまう。

このクラスを始めてもう10年以上になる。

毎年映画と本を2つずつやっていくから、もう20本以上の作品をやったことになるのだろうか?


ハワード・ホークスの監督作品はマリリン・モンロー主演の『紳士は金髪がお好き』(Gentlemen prefer blondes) に続いて2作品目。 ハンフリー・ボガートの主演は『マルタの鷹』についで、2作目だ。

このクラスの先生、Kevinの選ぶ作品はかなり自分の好みに偏りがあるが、筋の通った作品を選んではいるのだと思う。
今回は私は真面目にやっているが、さすがに映画と本の違いに目をやると、色々な点が気になる。何においても、本がまさっている。やはりハリウッド映画はエンターテインメントだ。そして最近の不振はやはりその辺の甘さに原因があるのではなかろうか?ヨーロッパやアジア系の映画、あるいはミニシアター系の映画に押されているのはその影響もあると思う。

さて本題に入ろう。

この作品の難点は、スターンウッド家の長女ヴィヴィアンの使い方にある。原作での彼女と映画での彼女が違いすぎる。つまりボギーの奥さんであるローレン・バコールを映画に絡ませようとした結果が作品をつまらないものにしてしまった。ヴィヴィアンはもともと金持ちのちょっとふしだらな放蕩娘なのだが、多分ローレンの印象を魅力的にする為に、知的でindependentな印象を加えて性格を変えてしまった。映画としたらその方が受けるのかもしれないしアメリカ人好みなのかもしれないから文句は言えないが・・・。

原作のプロットの面白さや緊張感、表現したいものが変わってしまって、単なるエンターテインメントになってしまっている。

1945年製作版と46年があるが、ヴィヴィアンのせいでストーリーに無理がかかりつじつまが合わなくなってしまっているので、私としては45年版の方が原文に忠実で面白い。とってつけたような会話はバカらしくて苦笑いだ。 けれど、クラスのS氏はそこの場面が一番好きだと言っていたから、人それぞれだ。彼とは感性がまるで違う。

結末も、主題も映画と本では大違いだが、まあクラスの教材として、色々考える秋には良かったのかもしれない。

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