2011年3月28日月曜日

好みが変わった!

認知症と関係あるのかは分からないが、おばあちゃんの好みが微妙に変わってきている。

彼女は何十年と『お煎餅おばさん』であった。ババちゃんと言えばお煎餅だった。家に来るお客さんはみんなおかきを持って現れた。

それなのに、ここのところ彼女の頭の中は甘いもので一杯だ。
キャラメルを買え、飴を買え、お菓子を買え、と煩いこと!あんこなんて大嫌いだったのに、今では目を細めて喜んでいる。とにかく甘ければ良いのだ。うっかりすると人の分まで食べてしまう。そして美味しいものを持ってきてくれた人は記憶に残るようなのだ。新しい記憶のトリックの始まり!

昨日、久しぶりに新潟の塩味のおかきを持って行った。あれほど好きだったのに、興味も示さない。兄嫁のよし子さんがパウンドケーキを焼いて持って来てくれた。それはよだれを出さんばかりに目を輝かせ、
「これよし子さんが作ったの?」と何回も聞いていた。
「その辺で売っているのより、余程美味しいね」お義姉さんはパン屋さん!だからプロだ。

口癖:「後で、キャラメル買いに行きましょう。ちょっと遠いけどね」
「明日又来るから明日にしよう」と兄が言うと、
「今日でなければ駄目なの、今日」ガンと譲らない。

Kzさんは大の甘党。いつもおばあちゃんの所へ行く時に必ず美味しいお菓子を持って行った。行かない時は私が託されて、「お母さん、これカズちゃんからのお土産だよ。」と言っておしゃれな包みのお土産を渡すと大喜びしたものだ。彼はいつも美味しいものを求めている、そして何か見つけるとババちゃんにあげるのだ。

「カズアキさんがくれるものは特別に美味しいから」とオババは大喜び。カズアキさんは別名ダアダ、子供達はみんなダアダと言って育った。だから名前を二つ持っている。
ところが、オババの頭の中ではカズアキさんとダアダが別になってしまった。つまり美味しいものをいつも持って来てくれるのが、カズアキさんで、私の夫、子供達のお父さんがダアダで、別物らしい。

先日、その二人は同じ人だと言ったら、顔中がひっくり返りそうなくらい真面目な顔をして私の顔を覗き込み、まん丸な目をして驚いていた。
「ホント・・・?」「ほんとだよ」 私はどんな顔で答えていたのかな?


おばあちゃんは、コーヒーが大好きだった。朝ごはんにはトーストと紅茶、でも外食の食後やおやつにはコーヒーを飲んで、「やっぱりコーヒーは美味しいね、疲れがとれる」と言って満足そうだった。

ところが、今はどんな時でも紅茶ばかり。お砂糖たっぷり入れて、紅茶を飲む。
「あれ?コーヒーじゃないの?」と聞くと、
「コーヒーは食べているものの味が変わるから嫌なの」と答えが返ってきた。
なるほど、本人なりに筋が通っている。認知症が始まってからなかなか論理的だ。

これで茄子が好きになったりしたら、認知症は好みが変わるのだと発表しよう。

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